【メディア掲載】日本経済新聞 「九大生11人 スタートアップ社長に 英会話情報サイトなど」

九州大学は27日、起業を目指す九大公認の部活動「九州大学起業部」から、学生が社長のスタートアップ11社が創業したと正式発表した。東証マザーズ上場で就職情報サイトのポートが資金提供し、軌道に乗ったスタートアップは買収。九大起業部は発足から10年間で50社の起業を目標に掲げている。外部の力を使うことで学生が起業しやすい仕組みを整える。
「英語力によって留学をあきらめる人をゼロにしたい」「知っているようで知らない情報を提供したい」。27日午後、九大伊都キャンパス(福岡市)で、社長になったばかりの男女10人の学生が意気込みを語った。なかには大学1年生の社長もいる。

九大起業部は東京・新宿に本社を置くポートと共同で「九大起業部メディアラボ」と呼ぶプロジェクトを立ち上げた。ポートが1社あたり50万円出資し、11社のスタートアップを新設した。各社数人の学生が所属している。「英会話・留学」「葬儀・墓・終活」「プログラミング」といったテーマで情報サイトを作り、運営する。

ポートの社員が支援する。追加出資を検討するほか、自社で培った情報サイト運営やマーケティングなどのノウハウを提供する。数年掛けて事業が順調に進めば、ポートが1社あたり数千万円規模で買収する。来年度以降も毎年続けていく。

九大起業部は2017年6月に発足した。所属する学生は約120人に上る。発足から10年で50社を起業し、5社を新規株式公開(IPO)させる目標を掲げる。

国内外のビジネスプランコンテストで受賞するなど、実績は残しているものの、これまでの起業は病理診断支援ソフトウエア開発のメドメイン(福岡市)を含む4社にとどまる。顧問を務める熊野正樹准教授は「『ビジコン部』ならいいが、そうではない。思った以上に学生が起業するハードルは高い」と実感する。

日本政策金融公庫総合研究所のアンケート調査によると、起業に関心のある層のうち、時期にかかわらず「起業したい」と回答した割合は半数を超えた。一方、複数回答で起業していない理由を聞いたところ、最多は53.1%の「自己資金が不足している」だった。その後は「失敗したときのリスクが大きい」「ビジネスのアイデアが思いつかない」などが続く。

大学卒業後すぐに起業したポートの春日博文社長は「ネットメディア事業は起業するハードルが低いのが特徴だ。まず起業し、成功体験を得てほしい」と話す。九大起業部は今回のプロジェクトに参加した学生らが売却資金を元手に、九大の技術などを使った次のスタートアップを立ち上げることをにらむ。

九州では「スタートアップ都市」を掲げる福岡市を中心として起業機運が高まる。だがIPOに至る事例は東京と比べて少なく、依然としてロールモデル(手本)が不足している状況は続く。

東京に拠点を置くポートと連携し、スタートアップ創出のスキームを描く九大起業部。熊野准教授は「地元企業とも同じようなことができれば」と話す。吹き込んだ新風によって弾みを付けられるかが目標達成へのカギになる。(高城裕太)

日本経済新聞(2019.9.27) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50290560X20C19A9LX0000/